第一コリント 9章19~23節

2020年11月6日

(内容)

  • パウロは1節で「わたしは自由な者ではないか。使徒ではないか」と語った。パウロは自由な者であるが、福音のためには奴隷、仕える者になったという。

(黙想)

  • 9章は8章の続きと考えることができる。パウロは一つの問題を考察するとき、その問題を広い視点から取り上げる癖がある。偶像に供えられた肉を食べる自由をキリスト者は持つと語りつつ、パウロは自分がキリスト者として、使徒としての自由をどのように用いているのか、を語る。
  • この段落では、パウロは使徒として福音を伝える立場にある。パウロは福音を伝えるとき、上から目線で福音を伝えることはしない。つまり福音はすばらしいものだ、このようにすばらしいものだと語り、あなたがたは信じた方がよい、というような語り方はしない。
  • 福音を信じて欲しい人の立場に立って、その人が持つであろう思いに寄り添って伝えようとする。疑問があれば答えるし、理解できないと言われれば分かるように語っただろう。ここには福音を聞く人として、ユダヤ人がおり、律法に支配されている人がおり、律法を持たない人がおり、弱い人がいる。一人でも救うために、相手の立場、相手の思いに寄り添うパウロの姿は大切である。イエス自身も人々を救うために、神という身分を捨てて人間になられた。
  • 人を教えるとき、うっかりすると「こんなことがわからないの」とか「これを信じないなんておかしいよ」とか、上から目線で語りがちである。
  • 説教でも語り口調が気になるときがある。「~なのであります」という表現を聞くと、上から目線を感じてしまう。聞く人は語られたことについて「本当かな、ちょっと信じられない」とか「そんなむずかしい言い方をされたらわからないよ」とか、色々な気持ちで聞いている。そんな時、「~であります」と言われると突き放されたように感じてしまう。寄り添うことが大切。でも簡単なことではない。説教の聞き手は、年齢の違う人がいるし、立場の違う人がいるし、様々なことを悩んでいる人がいて、相手の立場に立つことは簡単ではないが、理解しようとすることは大切だ。パウロはそういう努力を惜しまなかった。
  • それは「何人かでも救うため」という。福音を伝えるとは、相手を悔い改めに導くことでもあり、相手に自分の罪に気がつかせることが必要となり、決して簡単なことではない。だから相手に寄り添う。
  • 私たちが誰かを礼拝に誘うときも、相手に寄り添うことは大切となる。家族を礼拝に誘うときも、誘い方、言い方は大切になるだろう。
  • パウロは、自由な者であるが、謙遜になり、相手に寄り添うようにして福音を伝える。それは「わたしが福音に共にあずかる者となるため」と語る。「福音に共にあずかる」とはどういうことなのか。福音はイエス・キリストによる救いを伝える。イエス・キリストによる救い、それが福音である。イエス・キリストを宣べ伝えるのは、それを聞いた人が福音を信じ、その福音という恵みを受け取って生きることである。福音は一つの理屈でその理屈を信じればいいというものではない。
  • 福音は罪からの救いを語る。罪の赦しは福音である。罪の支配からの解放も福音である。罪に打ち勝って生きることができることも福音である。福音の実質を自分の身で経験していく、それが福音にあずかるといえる。
  • パウロはすでに福音にあずかっている。罪から救われて生きている。パウロは、他の人と共に福音に預かることを願う。自分一人だけ福音にあずかればよいとは言わない。他者とともに福音にあずかることをパウロは願う。信仰に生きるとは、ひとりだけ信仰に生きるということではない。共に信仰に生きる、そこが大切なのだ。そしてそこに教会が生まれる。
  • 讃美歌21の368番に「自分だけ生きるのでなく、みな共に手をたずさえて」とある。パウロはこれを求めている。見知らぬ土地に行って福音を宣べ伝えるつど、そこにいる人たちと福音を共にあずかることを願う。そこに教会が生まれる。

(聖書に聞く)

☆神が私たちに求める生き方
  • (教え)人を礼拝に誘うとき、相手に寄り添いながら誘うことが大切。
  • (教え)説教をするとき、さまざまな聞き手がいることを思い、その人たちの思いに寄り添って語ることも大切。
  • (警告)上から目線で語ることはよくない。
  • (勧め)福音を共にあずかることを喜ぶ。他のキリスト者と福音を共に喜ぶ者となりたい。

(神の導き)

☆祈り
  • 天の父なる神さま、パウロは福音を共にあずかる者となることを願いました。自分一人福音を信じて生きることをよしとしませんでした。キリストを信じるということは、悟りを開くということではなく、具体的にいかに生きるか、人の生き様に関わることだと思います。共に福音が告げる救いの恵みに生き、福音を共に喜ぶことが大切と知らされました。
  • わたしはブログで、ある意味、メッセージを発信していますが。読む人がわたしと共に神さまが与えてくださる救いの恵みを受けて欲しいと願います。今日の聖書から寄り添うことの大切さを教えられました。ブログを読む人の立場を考えること、これを大切にしたいと思います。
  • 上から目線は避けること。読む人が抱きそうな疑問を予想すること。読む人に寄り添うことができるように導いてください。
☆与えられた導き
  • ブログを書く前に、寄り添えるように祈ること。