ローマ 4章15節 神の約束は恵み

2022年12月24日

(内容)

  • 律法は怒りを招くものである。

(黙想)

  • 律法は怒りを招くとある。衝撃的な発言である。すでに3章20節で、律法によっては罪の自覚しか生じないとある。パウロの律法理解はユダヤ人は受け入れることができないだろう。
  • 律法はいつイスラエルの民に与えられたのか。エジプトにおいて奴隷であったイスラエルの民を神は解放し、自由な民として生きることができる土地へ神は彼らを導いた。その土地につく前、シナイ山の麓で神は彼らに律法を与えた。その律法には、儀式的なものと生き方に関わるものがあった。生き方に関わるものの代表は、十戒である。イスラエルの神は神と契約を結び、神の民として生きることを神と約束し、律法を守ることを約束した。
  • 約束の地に着いたイスラエルの民はどのように歩んだのか。周囲の民との争いの後、彼らは王を立てた。その後のイスラエルの歴史は、神の戒めに背く歴史であった。特に偶像礼拝を行い、彼らをエジプトから救い出した神以外のものを礼拝し、神を怒らせている。
  • 神は預言者を遣わし、罪を悔い改め、神に立ち帰るように促したが、イスラエルは悔い改めなかった。そこで神はイスラエルの国を見放し、イスラエルの国はバビロン帝国、ペルシャ帝国によって滅ぼされた。神殿は破壊された。
  • その後色々な経緯はあったと思われるが、律法に背いたからイスラエルの国家が滅びた。律法を守ってこそ、神の祝福が得られるとの理解が生まれ、律法を熱心に守る人々が現れたと考えられる。ここにおいて、律法は神の顧みを得る手段となった。この理解はイエスの時代にもあったし、当時のユダヤ人の律法理解でもあった。彼らには信仰によって義とされるという考えは理解しにくく、律法を守ることによって義とされるという理解をしており、パウロに敵対することとなる。
  • パウロは厳しい見方をする。律法を守るとユダヤ人たちは言うが、人は律法を完全に守ることができない。イエスもファリサイ派の人たちは偽善者だと批判した。パウロ自身、誰よりも熱心に律法を守っていると自負していたが、その自負はゴミに等しいと語っている。律法を守っていると誇るのはよいが、その誇りは絵に描いた餅でしかない。実際には律法を守れていないのである。
  • パウロはイエスを信じた。彼は何を知ったのか。人は神の恵みによって生きるものであると教えられた。そして神の恵みは約束という形で与えられる。イエスを信じる者は義とされる、これは約束である。信仰とは神の恵みによって生きることである。律法も神の恵みとして与えられた。律法は聖なるものであり(ローマ7:12)、霊的なものである(ローマ7:14)。
  • キリスト者となり、真剣に律法、神の教えに従おうとするとき、従うことができない現実にぶつかる。律法は私たちに自分の罪を自覚させるのである。さらに言えば、律法を通して、自分が罪を犯していることを知り、自分は神の怒りを招くものであることを知らされる。そして自分の力で律法を守ることはできないのであり、神の怒りを受けることは必然となる。
  • そこで十字架の死を遂げ、罪の贖いの業を遂げた主イエスを信じる人は義とされるという福音が語られる。信仰によって義とされることは、義だけに留まらず、人は自分の行いによって神の祝福を得るという考えから、神は約束という形で恵みとして祝福を与えられる方であるとの理解へ進むべきなのである。パウロはイエスを信じ、神の祝福を得る手段としてのとしての律法という理解を捨てた。同時に、神の約束として恵みが与えられることを通して、律法を全うすることができるとの理解にパウロは達した。信仰とは神の約束を恵みと信じ、信仰によってその恵みを受け取って生きることである。律法は聖なるものであり、霊的なものであるが、人間に罪の自覚を与え、神の怒りを招くものである。
  • しかしイエス・キリストを信じ、義とされた者には、さらに神の救いの恵みがあり、その恵みによって律法を全うすることができる、このすばらしい知らせをパウロは伝えたい。神の約束は信仰によって実現するのであり、律法の実践によって実現するものではないと主張することはパウロにとって信仰が立つか崩れるかの極めて大切な、そして決して妥協することができないものであった。
  • 約束を信じることの大切さを教えられる。

(聖書に聞く)

☆神はいかなる方か
  • <御父>神は約束を与え、信じる者を祝福する方である。律法の実践に頼る者を祝福されない。
☆神が私たちに求める生き方
  • <教え>律法は怒りを招くものである。

(神の導き)

☆祈り
  • 天の父なる神さま、あなたの約束を信じることの大切さを思いめぐらすことができ感謝します。約束を信じることの大切さをさらに深く考えたいと思います。そして伝えたいと思います。今日は、心にあるものを黙想という形で書くことができて感謝です。感謝の祈りをあなたに捧げます。
☆与えられた導き
  • 感謝の祈りを捧げる。