第二コリント 2章12~13節 伝道者の抱く不安

2021年6月8日

(内容)

  • パウロたちは、エフェソからトロアスに行った。そこで先にコリントに遣わしていたテトスとの再会を期待していたが会えなかったのでマケドニアに向けて出発した。

(黙想)

  • 第三次伝道旅行でパウロはエフェソに2年3ヶ月滞在した。エフェソに到着してまもなくコリント教会の様子が分かり、コリントの信徒への手紙一を書いた。その後、コリント教会とパウロの関係は思わしくない方向に進んだ。パウロは涙ながらに手紙を書いた(コリント二2:4)。そしてテトスをコリントに派遣した。テトスがどんな報告をもたらすのか、エフェソを出発したパウロはトロアスで待っていた。しかし会えなかったので、パウロたちはマケドニアまで進んだ。
  • 12節で「主によってわたしのために門が開かれていましたが」とある。門が開かれているとは、伝道する機会が与えられているとの意味だと理解する。トロアスはトルコの町であり、この町から海を渡ればギリシャに着く。この町でキリストを宣べ伝える機会が主によって与えられていたのに、パウロは人々に別れを告げて、マケドニア(ギリシャ)に渡った。
  • トロアスに来たパウロはテトスがくるのを待っていた。待っている間トロアスでキリストを宣べ伝えたと思われる。そして信じる人たちが与えられた。トロアスではなお伝道できるし、主によって伝道の門が開かれていた。しかしパウロはコリント教会のことが気になり、「不安な心を抱いたまま人々に別れを告げた」。落ち着いた気持ちでトロアスでキリストを宣べ伝える心境にはなれなかったと思われる。主によって門が開かれていたのに、マケドニアに行った。
  • 第二次伝道旅行のときもトロアスには来ている。その時は、パウロは幻を見て、すぐにマケドニアに出発しているので、トロアスでの伝道はしていないと思われる。
  • パウロはコリント教会の様子を知りたかった。そしてコリント教会の人たちが自分のことをどう思っているのか不安になっていた。不安な心を抱いたままでは伝道する気持ちになれなかったのだろうか。
  • この2章13節は7章5節に続く。2章14節から7章4節は、挿入と考えられている。

コリント二 7:5
マケドニア州に着いたとき、わたしたちの身には全く安らぎがなく、ことごとに苦しんでいました。外には戦い、内には恐れがあったのです。

  • パウロでも、パウロだから、このように苦しんだ。福音を宣べ伝える者も、福音に生きる者も、時と場合によっては苦しむことがある。不安になることもある。それは結局、信仰者は皆キリストを証しするという使命を神から与えられているからだろう。

(聖書に聞く)

☆神が私たちに求める生き方
  • <教え>信仰者には、不安や恐れにとらわれることがある。不安な心を抱いたまま行動しなければならないこともある。

(神の導き)

☆祈り
  • 天の父なる神さま、私は牧師の働きから引退しているので、自分が責任を負う教会に対して、不安を抱くということはありません。しかし、礼拝で福音が真に宣べ伝えられているのだろうかという危機感を持ちます。つまり福音を狭く罪の赦しに限定して理解し、宣べ伝えていると思われるのです。そこでは私たちを新しく生まれ変わらせ、罪に戦い、聖霊の導きによって罪から自由にされるという喜びは伝えられないのです。信仰者は自分は罪人であると思い、何となく後ろめたさを覚えているのです。
  • 天の父よ、これは牧師の神学理解、あるいは牧師自身の信仰体験に大きく関わっているので、簡単には解決できない問題です。説教者自身が罪から捕らわれの中にあって赦しに慰めを見いだし、また罪を犯し赦しに慰められるという悪循環を繰り返していたのでは、罪に勝利する福音の力を知らないことになります。
  • 私たちは洗礼によりキリストに結ばれ、私たちの古い人はキリストと共に死に、私たちはキリストが復活したように、新しい命に生きる者とされました。私たちは神の子とされましたし、父なる神のみ心に喜んで生きる者とされ、罪に打ち勝って生きることができるようにされました。罪に打ち勝つ喜びがないところでは、証しが生まれず、伝道は困難となります。
  • 現代の教会には専属に仕える牧師がおり、牧師は自分が仕える教会に集中して仕えるので、他の教師が教会に来て教会が混乱し、自分の牧師としての資格が疑われるようなことはあまりありません。
  • でも教会に仕える牧師、説教者が、福音を狭く理解しているという弊害が教会に広く蔓延しているように思えて仕方ありません。どうしたらいいのかと思います。私一人でどうにかなる事柄ではありません。このことはいつも祈っていますが、あらためてあなたに祈りたいと思います。

☆与えられた導き

  • 福音理解が正しくなされるように、祈る。