ルカ福音書 22章66~71節 証しするイエス

2024年3月14日

(内容)

  • イエスは最高法院に連れて行かれて裁判を受けることとなった。あなたはメシアか、神の子か、問われたが明確には答えなかった。

(黙想)

  • イエスはゲッセマネの園で「わたしの願いではなく、御心を行って下さい」と祈られた。その後イエスは捕らえられ、裁判を受けることとなった。この時点で、イエスは神の御心をどう考えていたのか。裁判の結果有罪となり、死罪となることが御心と受けとめたのか。おそらく受けとめたことと思う。イエスは弟子たちに三度受難予告をしていた。

「人の子は必ず多くの苦しみを受け、長老、祭司長、律法学者たちから排斥されて殺され、三日目に復活することになっている」(9:22)。

  • 事態は、この通りに進展しているので、殺されることが神の御心であると最終的に受けとめたのではないか。
  • イエスはまず、「お前がメシアなら、そうだと言うがよい」と言われた。これに対して、「わたしが言ってもあなたがたは決して信じないだろう」と答えた。イエスは御自分がメシアか否か、明確には答えなかった。また「お前は神の子か」という問いに対しても、明確に返事はしなかった。
  • 最高法院の議員たちは、イエスが自分は「メシアである」あるいは「神の子である」と答えたのなら、それは神を冒とくすることであるとして、イエスを死罪に追い込むことができると考えていた。彼らにとってイエスを死罪に追い込む言質を取ることができるか否か、それが問題なのである。
  • しかしイエスは、このような問答は信仰告白の事柄として受け取る。「お前がメシアなら、そうだと言うがよい」と言われた時、もしイエスが「わたしはメシアである」と答えたとするなら、イエスはさらに言うのではないか。「あなたがたはわたしがメシアであると信じるのか」。
  • イエスは「わたしが尋ねても、決して答えないだろう」と言い、最高法院の議員たちは、信仰の応答はしないだろうと言った。彼らは信仰の事柄についてイエスと語り合っているのではない。イエスを死に追いやろうとしている。彼らは信仰告白の事柄として、イエスと対話していない。だから「わたしが尋ねても、決して答えないだろう」イエスは彼らに言い彼らの問いに明確には答えない。
  • イエスは言質を取ろうとする最高法院の議員たちの問いに答えることはしなかった。しかし自分が何者であるかを語った。
  • 「しかし今から後、人の子は全能の神の右に座る」。最高法院は、この言葉は、自分を神とするものであって、イエスは神を冒とくしていると受けとめた。
  • イエスは、最高法院の議員たちの作戦には応じなかったが、しかし自分が何者あるのかを証しした。自分が何者かを証しすること、それは神の御心に適うこととイエスは考えていたと思われる。迫害の死であれば、自分が何者であるかをはっきり相手に語るのは自分を証しすることになる。
  • 言質を取ろうとする相手の質問には、明確には答えなかった。これは自分を証ししなかったと言うことではない。「しかし今から後、人の子は全能の神の右に座る」と語り、自分は神の右に座ることになると語った。暗黙のうちに、自分は神の子であり、メシアであることを語ったことになる。
  • イエスは自分が死刑にされることが父の御心であると受けとめている。最高法院の議員たちの質問に対しては、明確な答えはしない。空しい信仰問答はしない。彼らの作戦には乗らず、しかし自分がメシアであることははっきりと証しをした。
  • イエスは死を前にして、なお自分がメシアであることを明確に語った。証しをした。

(聖書に聞く)

☆神はいかなる方か
  • <御子>自分を迫害する者たちの作戦にはのらず、しかし自分が何者であるかは証しする。
  • <御子>死の時まで、神の御心に従う。
☆神が私たちに求める生き方
  • <模範>死の時まで、神の御心に生きる姿、証しをするイエスの姿は模範。

(神の導き)

☆祈り
  • 天の父なる神、主イエスは弟子たちに受難の予告をしていました。「長老、祭司長、律法学者たちから排斥されて殺され、三日目に復活する」。死は、地上の生涯の終点ですが、主イエスは「しかし今から後、人の子は全能の神の右に座る」と語り、自身は神の計画、神の御心の中に生きる者であることを告白しておられます。
  • 生きる者にとって己の死は、大きな壁です。ある人たちは死ねばすべて終わりと考えます。主イエスは、死によりメシアとしての活動は終了しますが、ご自分は神のもとに帰ることを語られました。
  • 証しをして父なる神のもとに帰ろうとする主の姿を見る思いがします。死は人生の終点ですが、キリスト者にとっては、神のもとに帰るための通過点であることを思います。
  • 私もいつの日か父なる神のもとに帰ることを心に刻みたいと思います。死を越える希望を語る聖句の一覧表を作ってあるので、今日はこれを読んでみたいと思います。
☆与えられた導き
  • 聖句一覧表を読む。