詩編2編 キリストの支配を信じて
2023年3月16日
(内容)
- 神が生んだとされる王は諸国の王たちを従えるようになる。
(黙想)
- この詩編は1~6節、7~9節、10~12節に分けられるように思う。
- 1~6節ではまず、この世の王、支配者たちが主である神に、そして神が立てた油注がれた方に逆らっていることを語る。イスラエルにおいては、油注ぎは王の就任式に行われる。油注がれた者をメシアと呼ぶ。
- 2節の「油注がれた方」と6節の即位した王は同じ人物なのかどうか。それとも異なるのか。
- 異なる場合の解釈はこうなる。イスラエルでは王が神によって立てられた。彼は油注がれて王として就任した。しかし諸国の王、支配者は結束して、この王に逆らっている。この王の支配から自らを解放させようとしている。そこで神は新たに王を即位させる。
- しかしイスラエルの王はダビデの時に周囲の国を支配するが、それ以降は支配力は失っている。主なる神が油を注いで立てた王は誰なのか、よく分からない。
- 同じ場合の解釈。神が王として即位させた王に、地上の王、支配者たちは逆らっている。いつの時代のことなのか。該当するような時代は見当たらない。
- 7節以降は、6節にあるようにシオンで即位した王の言葉である。この王は、「わたしの子」と主なる神から呼ばれる存在である。そして世界の王となることが約束される。
- 10節以降で、すべての王たちが目を覚まし、世界の王となるべき王に従うようにとの命令が語られる。そして喜び踊れと命じられる。
- 7~9節の言葉は、バビロン捕囚以降の時代を思わせる。イスラエルは国を失った。北のイスラエル、南のユダも滅びた。しかしいつの日か、神の立てる王が誕生し、イスラエルの支配を確立するという希望が書かれているような気がする。
- 使徒言行録4章ではこの詩篇を引用し、2節の油注がれた方をイエスとしている。
- 現代に生きる者としてこの詩編を読むこともができる。現代でも国々は騒ぎ立っている。世界を見渡すと平和はほど遠い。今は、ロシアのウクライナ侵略をめぐってロシアの侵略に反対する国々とロシアがそれぞれ自分の立場を主張している。
- 神が「わたしはお前を生んだ」とされるイエスがメシアとして王となられた。これは霊的な王である。イエスあるいは復活したメシア、キリストが世界を支配するときはまだ来ていない。キリスト信仰は、キリストが支配する終末の時を待ち望む。その時地上の王、支配者たちは、キリストに従うようになる。
- 最後に「いかに幸いなことか。主を避け所とする人はすべて」。詩編1編が「いかに幸いなことか」ではじまっているが、2編は末尾に「幸いなことか」をおいている。
- この詩編を王の即位式に読まれた詩編と読むなら、この詩編は、僕とは関係ない。この詩編を自分と関係するものとして読むなら、使徒言行録がしているように、「お前はわたしの子、今日、わたしはお前を生んだ」とある「わたしの子」をイエスと解釈する。
- 世界の現実は、国々が騒ぎ立っている。そして支配者たちは、自分を正しい者と主張し、声を上げている。「主に聞く」という姿勢はない。つまり主に逆らっている。神はすでに「わが子」を生んだ。イエスはキリストとして、今、霊的な王として世を支配しておられる。その支配は終わりの日にはっきりする。霊的な支配は、目に見える形では分からない。そんな支配はないという人もいる。世界の現実を見て「神などいるものか」と語る人はいつの時代でもいる。
(聖書に聞く)
☆神はいかなる方か
- <御父>天を王座として、世界を支配する方。
- <御父>イエスを「わが子」として生んだ方
- <御子>イエスは霊的な王として支配している
☆神が私たちに求める生き方
- <勧め>主を避け所とすること
(神の導き)
☆祈り
- 天の父なる神さま、この詩篇を今の時代にも当てはまるものとして読みました。歴史の中で戦争は絶えることがなく、今も起きています。戦争を起こす者は、話し合いによる平和を求める努力をせず、自分の都合を押しつけ、自分の要求を押し通そうとします。互いの主張を聞き、譲るべき点は譲り平和をつくる努力をせずに、自分の要求だけを通そうと戦いを起こします。
- 愛と平和を求めるあなたの教えは邪魔となります。「我らは枷をはずし、縄を切って投げ捨てよう」。
- あなたはメシアとして主イエスを世にお遣わしになりました。主イエスは今はキリストとして天にあって霊的に世界を支配しておられます。しかしそのご支配は、目には見えません。平和が訪れるように祈り続けても、なかなか戦争はなくならない現実があります。「お前は鉄の杖で彼らを打ち、陶工が器を砕くように砕く」とありますが、キリストのご支配は、なかなか明らかにはなりません。あなたの御心がどこにあるのかと考えますが、あなたの思いは人間の思いを越えて高く、理解できません。しかし、あなたは御心に従って世界を支配しておられることを信じます。
- 身近なところでも小さな争いがあります。自分の意志を通そうとの争いが沢山あります。平和が遠いことを思います。天の父なる神、悲観することなく祈り続けることができるように導いてください。
☆与えられた導き
- 平和が生み出されるように祈り続ける。